大阪では現在「大阪光のまちづくり2020構想」に基づいた夜間景観の整備・充実が、大阪府、大阪市、民間が一体となって進められている。水都大阪の推進の中で、夜間景観づくりは中之島、水の回廊、御堂筋エリアにおいて着実に進展しており、四季のイベントのひとつである「大阪光のルネサンス」は300万人以上の来訪者を誇り、市民に認知されるものに育っている。
しかし、一般の市民や企業の関わりは十分とはいえず、今後、活動を拡大させていく主体や仕組みについては課題であり、構想においても認識されている。その理由のひとつとして、まちあかりや夜間景観は身近なものであるにもかかわらず、それらを評価する「ものさし」を市民は持ち合わせておらず、その結果として、照明デザインの質に対する評価や自らが関わっていくことにつながりにくいのではないか、という課題設定を行った。
そこで当調査では、プロの視点から見る大阪のまちあかりの評価とその判断の「ものさし」を集め、それらをもとに、まちあかりへ市民が関われるようなコミュニケーション方法を探り、今後の展開内容の検討に資することを目的とした。
当調査検討にあたり、大阪で活躍する照明デザイナーとして、岡幸男氏(ライズ)、豊留孝治氏(パナソニック電工)、長町志穂氏(LEM空間工房)、松本浩作氏(STYLEMA‘TEC)の4名の協力を得た。
その結果、大阪の夜間景観の魅力要素として、①場の力、大阪らしさを際立たすまちあかり、②人の行為、心づかいが感じられるまちあかり、③基本的な設計手法が優れているまちあかりを抽出した。
また、講演会や夜景ツアーを開催し、照明デザイナーと市民との交流の機会を設けて意見交換を行い、コミュニケーション方法(展開アイデア、推進主体と仕組みのアイデア)の提案を行った。さらに、中之島において市民のあかりに対する見識を高めることに資するまちあるきのコース案を造成した。(2012年の大阪まち遊学のコースとして実施した)
- 期間:2011年7月~2012年1月
- 委託者:関西電力株式会社
- 内容:
- ①大阪で活躍されている光の専門家による夜間計画の評価と分析
- ②一般市民を対象にした勉強会の実施
- 照明デザイナーとの夜景ツアー(7/5岡幸男氏中之島、9/2豊留孝治氏八軒家浜)
- まちあかりサミットの開催(11/28岡幸男氏、豊留孝治氏、長町志穂氏、松本浩作氏)
- ③まちあかり体験コース(中之島東エリア、中之島西エリア)の提案
- ④ブランド力アップのための一般市民とのコミュニケーション方法の提案