川の駅はちけんや内…
「川の駅はちけんや」は天満橋近く、昔八軒家浜として賑わった川岸に、水都大阪の水辺の拠点施設として整備された建物である。2階のメインアプローチから1階への階段を降りると、川を身近に感じられるレベルとなり、正面に約400㎡の情報発信スペースが設けられている。
この情報発信施設は、将来のフレキシビリティーを確保するために、スペースだけが用意されており、運営団体が決まっていない中で、当面の情報発信・展示の機能を確保するため、仕切り壁や展示のための施設整備の委託を受けた。
- 委託者:(株)はちけんや
- 設計期間:2010年2月〜3月
- 施工期間:2010年3月23日〜26日
今回の施設整備に求められる機能を満たすために、三つの新たなユニットをデザインした。まず、さまざまな展示に対応し、またバックヤードも確保するために自由に仕切ることのできるパネルシステム。次にパネルシステムを補完し、簡易に展示スペースづくりができる掲示板ユニット。そして、さまざまな情報発信ツール、特にA4サイズを中心としたパンフレットやフライヤーを展示・配布するためのユニット台である。この三つのユニットを扱いやすく、安価かつ耐久性ももたせながら、この施設に相応しく、水辺の景観にも調和する手作り感と温もりのある木の素材により実現したのが、名付けて「木の情報発信ツール三部作」である。
通常は建具の芯などに使われるポプラの木片を組み合わせてできた狂いが少なく頑強な素材の断面を生かして組み合わせて加工したもので三つのユニット「木のパーティション」「木の掲示板」「木のパンフレット台」とも同じ素材で統一されている。これにより味気ないオフィス仕様の既製品パーティションではできない統一感のある手作りの温もりのある空間をフレキシブルに創りだすことができる。手軽に掲示物をピンナップしても跡が目立たない、それでいて木の素材感がしっかりあって丈夫な素材である。保護塗料もドイツ製の健康塗料を塗布していて安心して使うことができる。
オープニングイベントで安藤忠雄氏の中之島模型展示を皮切りに、イベントごとの展示替えに柔軟に対応して、もうひとつの旅クラブがデザインした「木の情報発信ツール三部作」は本領を発揮しつつあるところである。