香港中文大学国際交…
香港中文大学(The Chinese University of Hong Kong)鄒經宇教授(Prof. TSOU Jin Yeu)より大阪大学へ依頼があり、2016年5月16日から23日までの間、大阪・関西を舞台として、国際研修プログラム(International Study Programmes)を実施することになった。香港中文大学の教員・学生一行が来日する。研修プログラムの希望テーマとして、日本における高齢者に優しいデザイン、質の高いコミュニティデザイン、コミュニティと建築・都市デザインとの統合の方法、歩いて暮らせる都市の体験、地元の人々との交流、グリーン建築、水や緑の優れた利用などが提案された。それを受けて、大阪大学より、もうひとつの旅クラブへ、大阪のまち歩きの企画依頼があった。
旅クラブ運営会議で議論を重ね、
「香港には無さそうな大阪らしいテーマが良い。ただ、ネタがディープ過ぎると初めての方には意外に面白いと思ってもらえないかもしれない。」
「メンバーは建築や都市計画を志す学生たちも多いので、JR大阪駅からたった2駅なのに古い町並みが残って珍しい、野田が良いのでは?」
というアイデアが出た。確かに、高層ビルが立ち並ぶ香港都心に、野田のような長屋と路地は見たことがない。日本のお地蔵さん文化を伝えるにも丁度いい。そこで、「ななとこまいり」を企画・運営する野田まち物語に相談し、野田のまち歩きを実施する運びとなった。
「ななとこまいり」はお地蔵さんを七つお参りすると願い事が叶う、という野田に古くから伝わる幸せの言い伝え。集合したJR野田駅で各自お願いごとを用意してから出発。路地を歩きはじめると、長屋に早速出会う。岸田理事から長屋の解説が始まる。ある長屋の入り口には赤いランプが付いている。「このランプの付いているお宅は何かわかりますか?」鈴木さんが尋ねる。お地蔵さんの前に来ると、鈴木さんがツアーを代表してお賽銭を入れてお参りする。そして小話が始まる。例えば、玉河塩屋地蔵の脇には赤い消火器が置かれてあるが、この消火器はなんとお賽銭入であることなど。古い民家を改修してデイサービスに使われている、ななとこ庵に立ち寄り、野田の歴史とお地蔵さん文化についてお話を伺う。浪花屋本店では、ななとこまんじゅうの試食をさせて頂いた。
こうして、野田のまち歩きは進んでいった。